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シーズヒーターとは?基本構造や活用事例・メリットデメリットを解説
製造現場や産業機器で使用される加熱装置の選定にお悩みではありませんか?特に「シーズヒーター」は、その効率性と耐久性から多くの現場で採用されていますが、基本構造や用途、他のヒーターとの違いを正確に理解するのは難しいものです。
本記事では、シーズヒーターの基礎知識からメリット・デメリット、選び方までを徹底解説します。これを読めば、最適なヒーター選定が可能になり、生産効率や品質向上にもつながります。
株式会社OKAMOTOは、空気加熱ヒーターの分野で豊富な実績と高い技術力を誇る専門商社です。
当社はお客様の多様なニーズに応じたヒーター製品を提供し、効率的な加熱ソリューションを実現します。
シーズヒーターに関するご相談や製品選定については、ぜひ株式会社OKAMOTOにお問い合わせください。
シーズヒーターとは
シーズヒーターは金属パイプ内にコイル状の電熱線を収め、絶縁粉末で密封した構造の電気ヒーターです。
その優れた耐久性や高い熱効率から、工業用から家庭用まで幅広い分野で利用されています。
ここではシーズヒーターの基本構造や発熱の仕組み、さらに産業機器での具体的な使用用途について詳しく解説します。
シーズヒーターの基本構造
シーズヒーターの基本構造は、効率的かつ安全な加熱を実現するために設計されたシンプルながら高度な仕組みです。
おもな構成要素は以下のとおりです。
- 金属パイプ(シース)
- ニクロム線
- 絶縁粉末(マグネシア)
- 端子部(電極)
金属パイプは発熱体を保護し、外部への熱伝導を効率的に行う役割を果たします。
ステンレスや銅など用途に応じた素材が使用され、高い耐久性と耐食性を備えています。
ニクロム線は抵抗加熱によって電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、高い発熱効率が実現可能です。
その周囲に充填される絶縁粉末は発熱体と金属パイプ間の電気絶縁を確保しつつ、優れた熱伝導性を提供します。
ヒーターの発熱の原理
シーズヒーターの発熱の原理は、電気抵抗によるジュール熱を利用したものです。
この仕組みにより、安定した発熱と効率的な熱伝導が可能となり高いパフォーマンスを発揮します。
具体的には発熱体であるニクロム線に電流を流すことで、電気抵抗が生じ熱エネルギーに変換。この現象はジュールの法則に基づいており、電流の強さと抵抗値に比例して発熱量が増加します。
またニクロム線は高い耐熱性と安定性を持つため、長期間の使用でも性能が落ちません。
発生した熱は、金属パイプや絶縁粉末を通じて外部に効率よく伝達される仕組みです。
とくに絶縁粉末にはマグネシアが使用され、高い熱伝導性と電気絶縁性を同時に実現しています。
産業機器での使用用途
シーズヒーターは液体や気体、さらには金属の加熱において広範囲で活用される信頼性の高い加熱装置です。
その用途の幅広さが、多くの産業機器で不可欠な存在となる理由です。
液体加熱では、シーズヒーターを直接液体に挿入することで効率的な熱伝達が可能となります。
たとえば水や油・薬品などの加熱や保温に利用され、漏電や感電のリスクを抑えた安全な設計が特徴です。
一方で気体加熱では空気や窒素などを加熱する際に使用され、高温環境下でも安定した性能を発揮します。
さらに金属加熱では、金型や配管の加熱に適しており高い熱効率と均一な温度分布を実現します。
シーズヒーターのメリット
ここではシーズヒーターのメリットを紹介します。
- 高い遠赤外線効果
- 耐久性が高い
- 温度コントロールできる
ぜひ参考にしてください。
1.高い遠赤外線効果
シーズヒーターはその構造上、放射率が高く設計されており他のヒーターと比較して約2倍の遠赤外線効果があります。
さらに金属シースと絶縁粉末による高い耐久性が加わり、長時間の使用でも安定した性能をの維持が可能です。
このような特徴によりエネルギー効率が向上し、生産性や品質の向上につながっています。
2.耐久性が高い
シーズヒーターは高い耐久性によって長期間の使用が可能です。
具体的には発熱体であるニクロム線が金属管(シース)でしっかりと保護されており、金属管と発熱体の間には絶縁性と耐熱性に優れたマグネシア粉末が充填されています。
この設計によりシーズヒーターは衝撃や腐食に強く、過酷な環境下でも安定した性能を発揮できるのです。
一般的な使用条件下では寿命が10,000時間以上とされており、頻繁な交換が不要なため、メンテナンスコストの削減にもつながります。
シーズヒーターの高い耐久性は、長期的な運用コストを抑える点でも優れています。
3.温度コントロールできる
シーズヒーターは、温度を細かくコントロールできることが大きなメリットです。
温度コントロールによって、加熱が必要な作業を効率よく進めることができ、製品の品質の安定につながります。
その理由は、シーズヒーターの構造にあります。
中にある電熱線が金属の管でしっかり保護されているため、外部からの影響を受けにくく、温度を一定に保ちやすいのです。
また、温度調整用の機械と組み合わせれば、低い温度から高い温度まで自由に設定できるので、さまざまな作業に対応できます。
これにより、食品加工や製造現場などで正確な加熱が可能になっています。
シーズヒーターのデメリット
ここではシーズヒーターのデメリットを解説します。
- 立ち上がりに時間がかかる
- メンテナンスが必要
1.立ち上がりに時間がかかる
工業用シーズヒーターは、立ち上がりに時間がかかるというデメリットがあります。
その理由は、シーズヒーターの構造にあります。
内部の電熱線が金属管で保護されているため、電熱線が加熱されその後に熱が外部に伝わる仕組みになっています。
この過程には数分から十数分程度の時間を要する場合があり、急な温度変化や短時間での加熱が必要なプロセスでは効率が低下することがあります。
シーズヒーターの立ち上がり時間の長さは、生産性を重視する現場では注意すべきポイントです。
使用環境や用途に応じて適切な加熱方式を選ぶことが重要です。
2.メンテナンスが必要
工業用シーズヒーターは、定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスを怠ると、性能が低下したり、故障のリスクが高まったりする可能性があります。
内部の電熱線や金属管(シース)は長期間使用すると劣化することがあり、特に高温や腐食性の強い環境ではその進行が早まりやすいです。
また絶縁粉末(マグネシア)も湿気や汚れの影響を受けることがあるため、絶縁性能の確認が必要です。
こうした問題を防ぐためには、定期的に専門業者による点検や清掃を行い、必要に応じて部品交換を依頼しましょう。
シーズヒーターの選び方
ここではシーズヒーターの選び方について解説します。
自社に合ったシーズヒーターを選ぶ際の参考にしてください。
- 安全性と付加機能
- 使用環境にあわせる
- サイズと形状
詳しく解説していきます。
1.安全性と付加機能
工業用シーズヒーターを選ぶ際には、安全性と付加機能をしっかり確認しましょう。
まず安全性については、過熱防止機能や自動シャットオフ機能が搭載されているかを確認することが大切です。これらの機能は、ヒーターが異常な温度に達した場合に自動的に電源を切り、火災や故障を未然に防ぎます。
付加機能は、温度制御の精度や遠隔操作機能などです。高精度な温度制御機能は、生産プロセスの品質向上に寄与し、エネルギー効率も向上させます。
安全性と付加機能を考慮して選ぶことで、工業用シーズヒーターをより効果的かつ安全に活用することができます。適切な製品を選ぶことは、長期的なコスト削減と作業効率の向上にもつながります。
2.使用環境にあわせる
工業用シーズヒーターを選ぶときは、使う場所や環境に合ったものを選ぶことがとても大切です。
環境に合ったヒーターを選ぶことで、長く安全に使うことができトラブルも減らせます。
たとえば湿気が多い場所で使う場合は、水に強い防水タイプのヒーターが必要です。
また工場などで薬品や錆びやすい物質がある場合には、錆びにくい素材で作られたヒーターを選ぶと安心です。
さらに高温になる場所では、熱に強い特別な素材を使ったヒーターが適しています。
これらの特徴を持つヒーターを選ぶことで、故障しにくくなり、作業をスムーズに進めることができるでしょう。
3.サイズと形状
工業用シーズヒーターを選ぶときは、サイズと形状がとても大切です。
ヒーターの大きさや形が使う場所や目的に合っていないと、うまく加熱できなかったり、設置が難しくなったりすることがあります。
たとえば、大きなタンクの中の液体を温めたいなら、そのタンクに合った長さや形のヒーターが必要です。
また細いパイプを温める場合は、曲げられるタイプのヒーターが便利です。
もし狭い場所に設置するなら、小さくてコンパクトなサイズのヒーターを選ぶと作業がスムーズになります。
さらに、ヒーターの長さや太さが適切でないと、温度が均一にならず、加熱がうまくいかないこともあります。
工業用シーズヒーターの活用事例
※HPを参考にシーズヒーターの活用事例を紹介
工業用シーズヒーターの活用事例を紹介します。
フライヤーメーカーからの新型フライヤー開発に関する課題を解決した事例です。
従来まで使用していたシーズヒーターについて「容量を上げつつ、本数を減らしたい」という要望を抱えていました。
これはより効率的な加熱性能を実現しながら、設計の簡略化やコスト削減を目指したものです。
この問題に対し、株式会社OKAMOTOは「フラットヒーター」を提案しました。フラットヒーターは、表面積が広く熱伝導効率が高いため、少ない本数でも十分な容量を確保することが可能です。
この特性により、加熱性能を向上させながら設置スペースや部品点数を削減することができました。
結果として、フライヤーメーカーは容量を上げつつ本数を減らした新型フライヤーの開発に成功しました。
シーズヒーターのことならOKAMOTOにお任せください
この記事ではシーズヒーターの基本構造や発熱の仕組み、使用用途や選び方のポイントまで幅広く解説しました。
シーズヒーターは、高い遠赤外線効果や耐久性、温度コントロール性能に優れ、多くの産業現場で活用されています。
一方で、立ち上がり時間やメンテナンスの必要性といった注意点もあります。
適切な製品を選ぶためには、安全性や使用環境、サイズと形状をしっかり確認することが重要です。
シーズヒーターについて詳しく知りたい方は、ぜひ株式会社OKAMOTOにご相談ください。
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